鳥インフル惨禍を教訓として生かせ!
三重県養鶏協会が研修会開催(平成23年6月3日(金曜日))

 三重県養鶏協会(会長:川北始)は、去る6月3日、津市桜橋の県教育文化会館で第31回通常総会と研修会を開催しました。

 三重県では、今年2月に肉用鶏農場で高病原性鳥インフルエンザが発生、その終息宣言が出ないうちに、採卵鶏農場でも発生がありました。

 研修会では、県家畜保健衛生所職員らが、発生現場での作業状況等や、今後、発生した場合、現場の作業をよりスムーズに行うには、どのような点を改善していけばよいのかという経験に基づいた報告をしたり、殺処分家畜等に対する手当金、家畜防疫互助基金等の経営者への支援対策について説明をしました。

 発生農場となった(株)南勢養鶏代表取締役の萩原真郎さんからは、「何が起きたのか、そしてどうすればいいのか?」という題で、発生から現時点に至るまでの貴重な体験に基づく講演がありました。

 南勢養鶏は、この惨禍で成鶏23万羽を埋却処理した大規模経営です。また、その経営内容は、(社)中央畜産会が開催した「平成20年度全国優良畜産経営管理技術発表会」で、最優秀を受賞したことでも証明されるように優秀な事例です。この講演は、「惨禍の体験を養鶏仲間のために生きた材料にしてもらいたい。」という萩原さんの熱い想いにより実現したものでした。
 農場で異常鶏が発見されたのは、2月26日。ふだんから高い防疫意識をもっていたこの農場では、非常事態を想定した対処法をマニュアル化しており、たまたま、発生1週間前には職員を対象とした会議を開催したところでした。

 また、萩原さんは、「行政への『早期の報告』がその後の対応をスムーズに進められることにつながった。行政と三重県養鶏協会とは、平素から意見交換をする場も持っており、いざという時に心強い支援をいただけた。なにより従業員の生活を守れたことに安堵している。」と述べました。講演の中では、スライドを使い、感染経路のひとつとして見直さなければならない「ネズミの通路」になりそうな隙間の修繕状況や「人」「鳥」「水」を通しての感染ルートの徹底した防疫体制が必要であると語りました。さらに、経営面では「お客様に鶏卵を提供し続けられるように、飼料会社の協力・共同体制により事前に鶏卵を融通し合えるシステムを構築してあったことや移動制限区域外に事業所代わりに使用できる貸倉庫をすぐに借りられるように準備してあったこと、埋却地も町の理解によりスムーズに準備できたことなどが、経営の維持・復興に大変な力を発揮した。」という万全の対応策も披露されました。

 南勢養鶏では、年内には18万羽、来年4月にはすべての鶏舎に鶏が入るように計画的に復興が進行中です。