今後の目指す方向と課題

家族組織活動の継続

 部会員個々の経営は、部会の組織活動により支えられてきました。経営主の世代交代があったものの、昭和46年から同一経営が在籍し脱落者を出さずにきた事はお互いが良きライバルとして研鑚してきたからといえます。

 畜産協会のコンサルでは、個々の経営成績を並べて示し改善事項の検討を行います。当然個々の経営成果には差異があります。自分の経営の中身まで他人に知られることなどもっての外と隠してしまうのではなく、自分の経営で及ばなかった部分を改善しみんなで儲けようというのがこの部会の考え方です。

 規模拡大が進み専業経営が点在化している県内の肉用牛経営の中では、他では見られない事例であるとともにここまで部会員の意識を統一してきた歴代部会長の指導力と部会員の理解は今後も引き継がれ、更なる発展の源となるはずです。

地域内での地位向上

 堆肥の臭気や害虫発生等畜産経営が周辺地域に及ぼす影響は大きいといえます。対策として飼料への醗酵菌添加による脱臭、夏場の畜舎及び堆肥舎周辺への殺虫剤散布によりハエの発生を抑えています。周辺地域への対策をとる一方で堆肥の販売や利用も順調に行われており、耕種農家とのつながりも年々強化されています。

 袋詰堆肥は、近隣の一般家庭での利用も増えています。家庭菜園や園芸用として利用され、簡単に運搬でき袋のまま庭の隅に置いておける手軽さが好評となっています。直売により牛舎まで足を運んでくれる人も増え、畜産をアピールすることにも一役買っています。

 地域社会との連携を保つとともに、経営面でも魅力ある産業として評価されるように、所得向上・経営安定を図るための新しい技術の導入と規模拡大を行い、更に、地域農業のリーダーとして認めてもらうことが目標です。

堆肥環境にやさしい畜産

 不足がちで腐熟しにくいオガコの代替としてもみがらの利用を考えています。もみがらは、地域のライスセンターから大量に出るので必要量は十分確保できます。現状では吸水性と堆肥のかさが増えることが問題となっており、低コスト粉砕技術があれば解決できます。粉砕せずに使用して再度牛舎敷料として利用する技術の導入も含めて検討しています。

 また、地域社会と畜産を結び付けていく手立てとして、一般生ごみと家畜糞尿を混合した堆肥化処理を進め、地域と密着した畜産の進む方向として実現を目指しています。

消費者ニーズに視点をむけた生産

 昭和62年から始まった生協との取り引きにより、消費者ニーズと食品としての安全性に対する重要性には常に注意を払ってきました。乳用種から黒毛和種へと契約の内容が切り替わりましたが、今後も交流会を核に生協との親交を図り、消費者が求める品質の高い牛肉生産に取り組んでいきます。