三重県内の採卵経営は、平成12年度の統計によれば１戸当たり平均飼養羽数は29,400羽です。県内の採卵経営が盛んな地域にあっては、同数値は40,000羽を超えるところもあります。こういった情勢の中、ここで紹介する山下さんの採卵鶏経営は、平均羽数22,000羽と決して大規模ではありません。採卵経営で近年注目されるのは、こだわり卵の生産販売、衛生面の安心等が上げられます。当経営でもこういった点を備えていますが、今回の紹介に当たり特に評価をしたい点は、いろいろな場面で山下さんが地域と関わる姿勢です。

　山下さんは、農協の中に青年部会を創設するに当たり、地域の専業農業者らと意見交換を始め、各種サークル活動を通じた仲間づくりや地域との交流を推し進めるなど尽力されました。このことは、山下さんが当青年部会を「卒業」した後も更に当グループ活動が、発展充実されていったことからも図り知ることができます。

　奥さんもまた地域の農業改良普及センターの仲間で組織する女性グループで活動し、中心的な存在となってみえます。 地域との関わりは、鶏卵の販売というものが柱ではありますが、堆肥を通じての交流、環境美化から生まれた花の仲間との交流、またホームページ等情報発信から生まれた小中学校生らとの交流などもあり、単に物をつくり販売するといった経営ではなく、農業について共に考え、語り合える仲間としてのお付き合いが生まれています。