安全で安心の牛乳をお届けします

鈴鹿市の渡辺 友裕さん(昭和55年生まれ)を紹介します。
 

渡辺さん親子就農はスンナリと自然に

 小さい頃から牛を見て育ち、ちょっとした手伝いなどもしてきた私は、当然のように酪農を継ぐことになりました。私が中学生の時に父が体調を崩し、仕事を手伝ったことも、振り返れば就農に至ったひとつの要因だったかもしれません。私の生活の中には、酪農が溶け込んでいたのでしょう。
 地元の農業高校を卒業後、八ヶ岳山麓にある農業大学校で実践的な酪農の勉強を2年間続け、家に戻ってきました。
 就農したのは、19歳の時、そして20歳には結婚し、現在は、次の後継者(と、目される)男子も誕生しています。酪農の継承という点では、順風満帆の渡辺酪農です。(^_^)v

100頭規模の経営になりました

 就農した当時は、経産牛規模で40頭程度でした。1家族の生活ならこの規模でもかまいませんが、実質的に2家族分の生活を維持していくには、その頭数では賄いきれません。そんなことから100頭規模の酪農を計画しました。
 従来はつなぎ方式でパイプラインだったものを、フリーストール方式でパーラー(セミオートタンデム)にしました。搾乳は毎日の作業だけに肉体的に負担が大きくなることは避けたいと思います。家族が気持ちよく働ける楽しい職場でありたいと願っています。フリーストールの導入により、牛の成績も上がり、衛生面での対応もさらに改善できたと思っています。
 父の経験や知識、子牛の哺育には母の力も欠かせません。家族一体で成り立っている渡辺酪農です。

消費者の皆さんから支持をいただけるように

 所属する四日市酪農業協同組合では、平成16年4月から全国で2例目という「牛乳のトレーサビリティ」に取り組み始めました。(詳しくは組合のホームページをご覧下さい。)組合創設以来、四日市酪農では「土づくり」「草づくり」「牛づくり」を基本にして、自給飼料の生産給与に取り組んできました。私の経営では、主にデントコーンを栽培してサイレージで給与しています。良質な粗飼料は、牛の健康づくりには欠かせないと思い、今後も栽培面積の拡大などに取り組んでいくよう計画しています。
 課題もあります。消費者にとっては安心につながる取り組みも、生産者からみると、厳しい制約であったりすることもあります。余分にかかる費用を生産物にそのまま上乗せすることもできません。苦労の割りに消費者からの評価が思うように上がらないもどかしさもあります。
 しかし、酪農の原点を貫き消費者からの声を生かした私たち四日市酪農協の取り組みが、皆さんから高い支持をいただけるよう頑張っています。

消費者の皆さんと触れ合って

 消費者の皆さんは、食材に対して、どこでどんな風にだれが作ったものなのかといった情報を求めてみえるのではないでしょうか。一方、私たち生産者は、どういう想いでその生産物を作ったのかをうまく伝えたいのですが、なかなかその間の溝をうまく埋めて、お互いの理解を深めることは難しいようです。
 私の牧場へは生協や小学生の皆さんの見学もありますが、農場へ来てもらった皆さんの反応を見ると、やはり「百聞は一見に如かず」なんだなと実感します。
 私の牧場で取り組んでいる交流は、小さな取り組みかもしれませんが、一人でも多くの人が正しい理解をしていただけるように、これからも皆さんとたくさんのお話ができるようにしていきたいと思います。

渡辺酪農のこれから

 まだまだ、渡辺牧場の挑戦は続きます。
 県下の酪農経営では、草をつくる事例が少なくなってきており、そういった意味で私の経営は注目されているそうです。今後はもっと飼料畑を増やし飼料生産に励み、資源循環型の農業の実践を行っていくつもりです。
 このためには、コントラクターとしての皆さんからの力もお借りして、草づくりに励んでいこうと考えています。
 牛が好きで就農した酪農ですが、好きだけでは良い経営を続けていくことはできません。すべてに真剣に取り組み、地域の皆さんや社会から認めてもらえるような酪農家になっていけるよう頑張ります。

(H18年1月取材)

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