地域の農業と共に歩んでいきたいと思います

津市久居の前川昌視(まさちか)さん(昭和47年生まれ)を紹介します。
 

前川さん結婚と同時に就農しました

 前川牧場は、父が昭和33年に育成牛を導入したのが始まりで、父一代で現在の経営を築いてきました。
 私は27歳で結婚し、同時に就農することになりました。酪農の経験などないままでしたが、父の日常の作業を見ながら仕事を覚えてきました。
 現在の規模は経産牛42頭、育成牛17頭規模で、つなぎ牛舎で飼育しています。

新しい技術に取り組んでいます

 ET(体外受精卵)の活用により年に10頭前後の子牛の出荷をしたり、自家産子牛を中心とした牛の更新、自給飼料の生産、TMR方式による飼料の給与に取り組んでいます。
 中でも自給飼料生産を支えるのは、地域との共存とか資源循環型農業の推進といった思いです。この地域では稲作や野菜栽培が盛んなことから、周辺農家でも堆肥を利用してもらい、私の農場では、自給飼料のデントコーンやイタリアン、エンバクの栽培に堆肥を使っています。
 飼料の給与効果を上げるために、平成15年からTMR給与を本格的に始めました。食い込みは良くなったように思いますが、やはり基本は良い粗飼料ができたか否かにかかっているようです。

休日は子供たちとのコミュニケーションに

 毎日の作業の連続が酪農であるといっても過言ではないと思います。多少体の調子がおかしくても我慢しながら作業に出なければならないこともありましたが、そこはやはり家族経営のいいところで、父や妻の助けをもらってやってきました。
 覚悟はしていたものの、生き物相手の仕事はまとまった休みもなくサラリーマン時代と比べるときつい仕事だと思ったこともありましたが、仕事を覚えるに従い、自分で工夫できるようになり、やりがいのある仕事だと思えるようになりました。
 現在では、休みも1週間から10日に一度くらいは取り、5歳を頭にした3人の子供たちとのコミュニケーションの時間を大切にするようにしています。

将来の夢は・・・

 将来の夢は?という質問に、90頭規模の経営を目指していると答えた時期もありましたが、今では現状の規模を維持して夫婦でやっていける経営でありたいと思っています。
 90頭規模にするということは、搾乳方式を始め、施設の改善や頭数増加によるふん尿の増加、これに対する自給飼料の確保など、現在の前川牧場にかなり大きなメスを入れることになってしまうと思ったからです。
 土づくり⇒草づくり⇒牛づくりを基本としたゆとりある酪農経営をやっていきたいという今の思いとはズレが生じることになります。
 技術的な面では、現在ET(体外受精卵)を活用していることは、先にお話ししましたが、これからは県の受精卵(体内受精卵)も活用していきたいと思っています。
 また、周辺の野菜生産農家の現状をみるとやはり後継者がなく、この先どうなるのかと心配してしまいます。地域の人たちからは「前川が頼りだ」といった声も聞きますが、そうは言われても、すべて引き受ける訳にはいきません。しかし、酪農だけにとらわれず、いろいろなことに挑戦しながら、なんとかこの地域の農業を守っていきたいという気持ちです。

酪農を通して皆さんと一緒に

 地元農協の青年部員として、研修会に参加したり、親睦を深めたりという場には積極的に参加していますが、もっと、若い後継者や情熱を持った酪農家が集いお互いを高めていくような場がほしいと思っています。
 まだまだ若造の部類に入っている状態ですが、後継者として就農した自分の想いを次の人に伝えていくことも大切な役割であると思っています。
 一人の力ではできないことも仲間がいれば相談もできる、愚痴も聞いてもらえる、新しい情報も手に入るようにできるはずです。
 酪農を通じて皆さんと一緒に歩んで行きたいと思います。

国民の食を支える仕事です

 酪農を始め、畜産、農業、その他産業の部分でも海外に依存する部分がだんだん増えてきていますが、私の経営では牛を自家生産し、更新用に育成しています。牛の改良や飼料給与、自給飼料の生産等、できることは自分の経営内で対処し、毎日の食生活に欠かせない安全で安心な牛乳を生産しています。
 私の生産した牛乳を直接お客様に買ってもらうことはできませんが、スーパーに並んでいる牛乳パックにもこんな後継者の想いが詰まっていることを改めて伝えたいと思います。

 
(H18年1月取材)

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