良質堆肥「ビタコンエース」の中尾さん

 「畜産いいとも」のお二人目は、鈴鹿市三宅町の中尾吉秀さんです。

 飯南町の久保さんからご紹介いただいた中尾さんも肉牛(黒毛和種)を飼ってみえます。久保さんとは削蹄を通じて長いお付き合いが続いています。飼養規模は、肥育牛が400頭、繁殖牛が45頭ほどの大規模経営です。斜面をうまく利用した牛舎では、ポカポカと日を浴びながらのんびりと牛が休んでいました。

 

中尾さん牛を飼われたきっかけは?

 「肉牛を飼い始める前には、養豚をやっていました。父が果樹を手がけるかたわら、私が豚を飼っていたのですが、”牛も少し飼ってみませんか”という経済連の勧めがきっかけで肉牛を飼い始めました。昭和43年頃のことです。」ということで、肥育頭数も飼い始めてしばらくの間に100頭を超える規模まで増頭し、経営は順調に拡大されてきたようです。
 この経営手腕を、じっと見つめていたのが息子さんでした。「肉用牛経営はこんなに儲かるものなのかな。」と思った(らしい)息子さんは大学を出ると「家業を継ぐ!」と宣言。これに驚いたのは中尾さんご本人でした。「不安定な肉牛経営など止めておけ。」と言ったものの息子さんの決意は固く、他県の農家で研修をした後、家業につくことになりました。後継者不足に悩む農家からみれば、うらやましい話ですね。

ビタコンエースという名前で堆肥を生産してみえますね。

 「昭和62年頃から、取り組んでいます。どういう処理をしていったらよいのか思案していたところへ、メーカーの紹介もあって、岡山県まで視察に行きました。その方法を取り入れてからも、いい堆肥を作るにはやはり水分調整が一番肝心で注意を払っています。販売は全量、農協を通じて行っています。管内の農協の支店のすべてで取り扱ってもらっています。農協は他の地域の堆肥も取り扱っているようですが、うちの堆肥が一番評判もいいようで、コンスタントに販売されています。全部、袋詰めしているので労力はかかりますが、使う人の立場からみると、使いやすさも非常に大切なようですね。」

畜舎日頃、気をつけてみえることはどんなことですか?

 「やはり、肉質というのか、おいしい肉を作るには・・・ということが常に頭にあります。肥育後期のビタミンの投与の仕方で肉の味も変わってくるので、いろいろと試行錯誤の連続です。肉の販売先が、料亭とかお客さんに食べさせるようなところですと、そこの職人さんは必ず自分でその肉を食べてみるようで、そういったところからは私の肉の評価が聞こえてきます。大変参考になりますね。」

中尾畜産お休みの日には、何をしてみえるんですか?

 「特に休みといった日はないですね。そんなことで趣味といえるような特別のこともないのですが、旅行は好きですね。まあ、牛を買いにあちらこちら出かけますけどね、これは仕事ですね。家内も旅行らしい旅行がしたいということで、この6月に北海道へでも出かけようかと考えているところです。」

★削蹄とは・・・

 牛の爪も当然のことですが伸びてきます。これを放っておくとドンドン伸びてしまって、牛は体のバランスが悪くなり、肉質にまで影響を及ぼします。ということでこれを切る必要がありますが、これを「削蹄(さくてい)」といいます。