牛飼いの基本は、「土づくり」「草づくり」「牛づくり」
W牧場(S市)
 
1 経営の概況
1 所属酪農協の取り組み

 当経営が所属するY酪農協は、平成18年現在組合員24名(内生産者9戸)からなる酪農協である。

 消費者に安全で安心できる牛乳を提供するために、平成12年11月から「非遺伝子組み換え飼料で飼育した乳牛から搾った牛乳」の提供を開始したり、平成16年4月、全国で2例目となる牛乳のトレーサビリティを導入した。

 また、商品としては、こだわりの低温殺菌処理の牛乳を生協等も通じて販売している。

2 当該経営の取り組み

 安全で安心の牛乳生産を目指す上記の酪農協の趣旨に、「土づくり」「草づくり」「牛づくり」を基本理念として自給飼料の生産に取り組んでいる。

3 経営の経緯

 主な経営の経緯については次のとおりである。

昭和33年頃 先代が酪農を開始。当時の飼養規模は2頭程度。
        (地域内では、ほとんどの農家が乳牛を飼っていた。)
昭和46年  父就農。経産牛頭数15頭規模。
昭和51年  牛舎の建設で規模拡大。経産牛頭数30頭。
平成13年  本人が後継者として就農
平成15年  100頭規模のフリーストール型牛舎を建設。

4 経営の規模

 経営規模は経産牛100頭規模であり、本人、両親の3人の家族労働力で賄っている。飼養方式は、フリーストール、ミルキングパーラー方式で搾乳労働の省力化を図っている。

 1日当たり搾乳量は平均で2,200kgである。
 
2 飼料生産
 栽培する作物はトウモロコシで、栽培面積は700aである。利用形態は全量サイレージとして利用している。

1 自給飼料の作付面積の内訳
区分 経営面積(自給飼料作付面積)単位:a
合計 水田 転作田 草地 放牧 その他
合 計 700   700        
自作地 170   170        
借地 530    530        

2 自給飼料の生産状況
作付作物 作付面積 10a当たり
収穫量
収穫量 TDN収穫量 利用形態
トウモロコシ 700a 6,500kg 455,000kg 61,880kg サイレージ100%

3 飼料生産に関係する施設、機器具等                 単位:円
区  分 様式
能力
取得
年月
取得
価格
自給飼料
負担
割合
期間内
負担償却費
施設 倉庫 鉄骨 S51.1 600,000 25% 0
乾草倉庫   H16.7 2,800,000 100% 126,000
堆肥舎 鉄骨 S57.6 3,150,000 50% 0
堆肥舎 鉄骨 H13.3 7,937,200 50% 178,587
機器具車両 サイロ   S53.8 300,000 100% 0
FRPサイロ 30m2×2 H17.7 630,000 100% 141,750
コーンハベスタ 2条刈り H6.3 1,770,650 100% 0
ボブキャット 0.05m3 H8.1 1,100,000 100% 0
トラクタ 62ps H12.4 1,000,000 50% 22,500
ダンプ 2トン H12.8 1,540,000 50% 80,850
マニスプ 3トン H13.3 697,200 50% 62,748
ショベルローダ 1m3 H13.3 1,481,340 50% 133,321
バキューム 3トン H13.3 520,800 50% 46,872
トラクタ 85ps H15.1 3,742,200 100% 673,596
ダンプ 2トン H15.9 2,800,000 10% 50,400
ワゴン 2トン H16.9 2,450,000 100% 441,000
トラクタ 85ps H17.12 2,625,000 50% 32,813
ショベルローダ 0.25m3 H17.4 577,500 50% 97,453

4 自給飼料の生産コスト
費 目 金 額 構成比
種苗費
肥料費
その他資材
雇用労賃
家族労賃
燃料費
減価償却費
修繕費
小農具費
借地料
300,405
325,500


918,000
146,000
2,087,890
227,914

567,500
6.6
7.1


20.1
3.2
45.6
5.0

12.4
合 計 4,573,209 100.0

5 単位当たりの生産コスト
区  分 牧草分
労賃含 労賃除
費用総額 4,573,209 3,655,209
収量1kg当たり 10.05 8.03
DM1kg当たり 42.59 34.04
TDN1kg当たり 73.90 59.07
 
3 自給飼料生産・利用による効果
 「土づくり」「草づくり」「牛づくり」を基本理念におき、生産される堆肥の90%を自給飼料生産に利用している。残りの10%は近在の耕種農家へ無償譲渡している。

 安全・安心の牛乳生産に取り組む組合員の代表として、自給飼料生産に取り組む姿を消費者等に紹介し、消費者へのPRにも努めている。
 
4 成功の要因
 借地を近在の農家に依頼し、これが相手農家に受け入れられていることが第一の基盤となっている。

 経営内では、労働力にも無理のない栽培面積であり、栽培規模に見合った機械化もされていることから適正な生産規模となっている。
 
5 今後の展望
 自給飼料の生産は、今後の経営維持発展においても重要なポイントであると捉えて行きたいので、拡充の方向で進めたい。

 そのためには、家族労働力のみでは限界があることから、外部委託型形態を構築する必要性を感じている。同時に低コスト化も必要な事項であり、現状では中古機械の購入等で自助努力しているが、地域が一体となった耕畜連携体制の下での低コスト化を模索している。
 
 
自給飼料栽培のようす サイレージ調整用のサイロ
   
パーラー方式の搾乳は、日常作業の労力軽減 堆肥の90%を自給飼料生産に利用する
   
敷料の搬出風景 自給飼料栽培について消費者に説明も必要