1.はじめに

 20世紀は、科学技術が著しく進歩し、先進国では大量生産・大量消費という形で物質的豊かさを享受するようになった世紀であった。その20世紀が21世紀に残した最重要課題が循環型社会の創造である。

 20世紀最後の年として世紀の変わり目となる西暦2000年は、「循環型社会元年」あるいは「環境元年」と言われ、我が国において循環型社会形成のための諸施策が重点的に整備された年である。まず基本法となる「循環型社会形成推進基本法」が成立し、循環型社会形成のための基本理念が明示された。そして、その基本法のもとに、各分野で具体的な法が制定された。そのなかで畜産と深く関わりがあるものは、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年)と「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(平成12年)であろう。循環型社会の形成に向けて法制度の整備が進められる中で、畜産とりわけ養豚を念頭に置きながら資源循環と関わった発展方向を展望していきたい。

 まず糞尿の問題であるが、大規模な養豚経営ともなると糞尿を還元する耕地がないというのが一般的である。しかしながら、排出者として糞尿の利用を積極的に考えざるを得ない社会的仕組みが形成されつつある。家畜の糞尿の利用については、堆肥化という流れができているが、悪臭対策、メタンの放散防止そしてエネルギー回収という点から最近はバイオガス利用に注目が集まっている。養豚は、このように糞尿による環境への負荷というマイナス面をもっているが、本来プラス面も持ち合わせていることを押さえておく必要がある。豚は、残飯や食品工業の加工残渣物を飼料として利用できる優れた家畜なのである。

 他の経営主体にとっては、廃棄物でしかないものも、養豚農家にとっては資源となるのである。こうして考えると、循環型社会の中での養豚の位置づけのキーポイントとして、

(1)食品廃棄物の飼料化
(2)糞尿利用としてのバイオガス化

 の二点が浮かび上がってくる。まさに食品リサイクル法、家畜排せつ物法が施行された現在、この二点について検討の価値は大きい。これら食品廃棄物の飼料化とバイオガスプラントから畜産からリサイクルを考えると、図1のように食品廃棄物を飼料という形で利用し、飼養家畜の糞尿等からメタン回収を行い電気・熱エネルギーを供給し、さらに発酵残渣を肥料化するという一連の体系が浮かび上がってくる。

 このようなリサイクル体系を具体化するには、パーツ部ともいえる食品廃棄物の飼料化とバイオガスプラントについて先進事例を学ぶ必要があろう。そこで以下では、リサイクル先進国のドイツにおいて食品廃棄物の飼料化を行っている企業の事例とバイオガスプラントの事例を順次みていくことにしたい。まずドイツの養豚の概況を簡単にみてから、ドイツのリサイクルの枠組みとなる法制度を概観し、それから食品廃棄物の飼料化とバイオガスプラントの事例の紹介に移ることにしたい。

図1