3.リサイクル社会をつくる法的仕組み

 ドイツはリサイクルの先進国として注目されているが、かつてはゴミ埋立地の不足、焼却場の容量オーバーが問題になるほどゴミの増大に悩まされていた。こうしたゴミ問題に対して、「廃棄物処分法」(1972年)、「廃棄物回避・処理法」(1986年)などいくつかの法律が1970年代、80年代に制定されたが根本的な解決には至らなかった。そこで導入されたのが世界各国の廃棄物政策に大きな影響を与えた「循環経済・廃棄物法」である。

 1994年に公布(施行は96年)された同法は、正式名杯を「循環型経済の促進及び環境と調和した廃棄物処理の確保に関する法律」といい、一般に「循環経済・廃棄物法」または単に「循環経済法」と呼ばれている。これは、廃棄物処分問題に悩んでいたドイツが、廃棄物の発生抑制を最優先とし、循環型経済への転換を図るために制定した意欲的な法制度といわれており、先進的なリサイクル社会を形成している根拠法となっている。

 この「循環経済・廃棄物法」の基本原則の第一は、廃棄物の発生抑制を図ることであり、次の段階で廃棄物の利用を考えるというものである。従って、リサイクルを進めることによって廃棄物の発生抑制が問題とされなくなったのではない。あくまでも廃棄物の発生を抑制することが最重要なのである。廃棄物の利用の方法としては、素材あるいは原材料としての利用とエネルギーとしての利用があり、いずれの方法をとるかはその環境適合性によって判断される。

 そして、発生抑制できず、再利用も再生利用もできない廃棄物についてはじめて、環境との調和を図りつつ処分するという原則が適用されるのである。この対応の順位を整理すると以下のようになっている。

1 発生抑制
2 利用(リサイクル) 
  1)素材利用
  2)原材料利用
  3)エネルギー利用
3 最終処分

 そして、「循環経済・廃棄物法」では、循環型経済の実現にむけて、生産者、流通業者、消費者が各自の自己責任を確立することが、基本理念として据えられている。そのため、廃棄物の再生利用及び処理にかかる費用については、廃棄物発生の原因者、つまりは廃棄物生産者または占有者が負担することになっている。