2)ドイツにおけるバイオガス利用の歴史

 90年代以前 ドイツでは現在バイオガスプラントの建設ラッシュともいえるほどプラントの数が急増している。しかしながら、ドイツのバイオガス利用の歴史を振り返れば、この急増は今になってはじめて起こったことではなく、第3次ブームとして位置づけられる。そこで簡単に、ドイツにおけるバイオガス利用の歴史をみることによって現在の急増現象を位置づけることにしたい。

<第1次ブーム>

 ドイツにおいてバイオガス利用がはじめて注目されるようになったのは、第二次大戦後のエネルギー不足が契機となっている。農業分野では、1947年にダルムシュタット工科大学が農家用に小規模なプラントを開発し、1948年に最初のバイオガスプラントがダルムシュタットに程近いオーデンバルトに建設されたのがはじまりとされている。そして、バイオガスプラントは普及し始め、1950年代に入ってからは約50のプラントが存在したといわれている。

 この時期のバイオガスの利用は主に生活面の熱利用に限られており、暖房、調理、洗濯など限られた範囲で利用されていたに過ぎない。当時は、現在のように電熱を併給するものではなかったのである。

 このようにエネルギー不足を背景に注目されたバイオガスであるが、1950年代半ばから石油価格が下落したことなどによってブームが去っていったのである。

<第2次ブーム>

 いったんはブームが去ったバイオガスであるが、それが再び注目されるようになったのは、1973年のオイルショックが契機となっている。石油に依存しない代替エネルギーを模索するなかで、バイオガスが再び注目されるようになったのである。

 バイオガスプラントが各地につくられ1980年には75のプラントが数えられている。しかしながら、当時のプラントは多くの労働を要する割にガス発生効率が低いといった欠点をもっており、石油危機が去るとともに注目されなくなり、バイオガスブームも下火になっていったのである。

 以上の第1次、第2次のブームを経て、今はバイオガスの第3次ブームといわれている。第1次、第2次のブームは、エネルギー不足やオイルショックに対するいわば緊急対応的な性格が強かったといえる。従って、直面している問題が遠ざかれば、興味も薄らいでしまうという刹那的な意味合いをもっていたともいえる。それに対して、第3次ブームは、地球温暖化防止を基底としており、しかも脱原子力という政策目標が掲げられる中で環境にやさしく持続的なエネルギー源の模索のなかでの高まりである。従って、これまでのような緊急避難的な性格を持ったものとは区別されてよい。

 では、1990年代に入って再々度バイオガスが注目されるようになった社会的背景とプラント数の増加の実態を確認することにしたい。