家畜排せつ物法の解説(一問一答)

 質 問 リ ス ト 
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Q1 管理基準を定めるねらいはどこにあるのですか。
Q2 管理基準は具体的にどのような内容になっているのですか。
Q3 現在たい肥盤でふん尿を処理してますが、管理基準に適したものとするためには、屋根をかけなければなりませんか。
Q4 生ふんやたい肥を草地や農地に放置している場合は、管理基準上問題がありますか。
Q5 冬が長く雪の多い地域なため冬の期間中農地にふん尿を堆積し、春先に散布していますが、管理基準上問題がありますか。
Q6 パドック(運動場)で排出されたふん尿は、管理基準上どのような扱いになりますか。
Q7 家畜排せつ物の発生量等の記録は、どのようにとればいいのですか。
Q8 現在、野積みをしており、これからたい肥舎を作ろうと考えています。勧告や命令といった措置は、法律の施行と同時に行われるのですか。
Q9 管理基準はすべての畜産農家が遵守しなければならないのですか。
Q10 管理基準の適用に関して、飼養頭数はいつを基準にして決めるのですか。また、カウントの対象には成畜のほか子畜も含むのですか。
Q11 新しい農林公庫資金の融資の対象となる処理高度化施設にはどのような施設があるのですか。
Q12 金融上の支援措置を受けるための具体的な手続きについて教えて下さい。
Q13 税制の特別措置の内容と具体的な手続について教えて下さい。
Q14 家畜排せつ物処理施設の設備に対する補助事業やリース事業等の支援措置を教えて下さい。

Q1  管理基準を定めるねらいはどこにあるのですか。

1 近年、畜産経営の大規模化の進行に伴い、家畜排せつ物の発生量が増大し、その利用が困難になりつつあり、野積み・素掘りをはじめとする家畜排せつ物の不適切な管理が増えています。このことが主な原因となって、家畜排せつ物の管理のあり方をめぐり、畜産業を営む者と地域住民との間で問題が生じる事例も見受けられるようになっています。
 また、野積み・素掘りは 、家畜排せつ物の河川への流出や地下水への浸透により、クリプトスポリジウム(原虫)や硝酸性窒素による水質汚染を招くおそれもあるため、早急にその解消を図る必要があります。

2 環境問題に対する国民の意識が高まる中で、地域において畜産を安定的に営んでいくためには、家畜排せつ物の管理の適正化を図ることが重要な課題となっています。こうしたことを踏まえ、家畜排せつ物の管理について、畜産業を営む者が遵守すべき管理基準が定められたものです。
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Q2  管理基準は具体的にどのような内容になっているのですか。


 管理基準は、野積み・素掘りをはじめとする家畜排せつ物の不適切な管理を改善するために、畜産業を営む者が遵守すべき必要最小限の基準を定めたものです。
 管理基準の具体的な内容は、大きく分けて施設面と管理面の基準からできています。

施設面の基準
 家畜排せつ物を処理したり保管したりする施設(以下「管理施設」といいます。)の構造設備に関する基準です。

(1)固形状の家畜排せつ物の管理施設については、床を不浸透性材料(コンクリート等汚水が浸透しないものをいいます。以下同じ。)で築造し、適当な覆い及び側壁を設けること。

ふんやふんと尿を敷料等で吸着させ固形状になったものを管理するための施設としては、たい肥舎や乾燥施設が一般的ですが、この基準は、このような施設から汚水が飛散したり、流出したりすることがないように、床をコンクリート張りとしたり、防水シートを敷いたりする必要があることを示したものです。なお、必ずしも屋根をつけることを義務付けるものではなく、例えば、防水シートを下に敷き、上から防水シートで覆うなどの簡易な方法でも結構です。

(2)液状の家畜排せつ物の管理施設については、不浸透性材料で築造した貯留槽とすること。

尿やスラリーといった液状の家畜排せつ物を管理するための施設としては尿溜、スラリータンク等が一般的ですが、この基準は、このような施設について、(1)と同様の趣旨から、コンクリートや防水シート、鋼板等で作り、汚水が地下浸透しないようにする必要があることを示したものです。

管理面の基準
 家畜排せつ物の管理の方法に関する基準です。

(1) 家畜排せつ物は管理施設において管理すること。

たい肥舎等が整備されても、これを利用しないで野積み等をしては意味がないために、たい肥舎等できちんと管理していただくことを定めたものです。

(2) 管理施設の定期的な点検を行うこと。
(3) 管理施設の床、覆い、側壁又は槽に破損があるときは、遅滞なく修繕を行うこと。
(4) 送風装置等を設置している場合は、当該装置の維持管理を適切に行うこと。

(2)(4)は、管理施設について、ひび割れがないかどうか,覆いが破れていないかどうか等について点検していただき、ひび割れ等が確認された場合に速やかに修繕していただくこと、また、送風装置(ブロアー)、攪拌装置等の装置について、注油、掃除等の維持管理を適切に行っていただき、排せつ物の処理に支障がないようにすることを定めたものです。

(5) 家畜排せつ物の年間の発生量、処理の方法及び処理の方法別の数量について記録すること。

飼養規模の拡大等が行われた場合でも、施設の容量不足等で不適正な管理になることがないように、家畜排せつ物の発生量等について確認していただくことを定めたものです。

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Q3  現在たい肥盤でふん尿を処理してますが、管理基準に適したものとするためには、屋根をかけなければなりませんか。

 たい肥盤については、屋根かけをしてたい肥舎とすることが望ましいと考えられますが、園芸用パイプハウスのようにパイプを利用してビニールで覆いをしたり、防水シートで覆いをするといった対応をとっていただければ、屋根がなくても管理基準上は問題ないと考えています。
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Q4  生ふんやたい肥を草地や農地に放置している場合は、管理基準上問題がありますか。


 生ふんやたい肥舎を散布する前に草地や農地に放置している場合は、管理基準上問題になりますので、できる限り速やかに散布するか、たい肥舎に搬入するか、あるいは防水シートで上下を覆う等の対応をとっていただく必要があります。

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Q5  冬が長く雪の多い地域なため冬の期間中農地にふん尿を堆積し、春先に散布していますが、管理基準上問題がありますか。

 秋に堆積したふん尿を散布することなく、そのまま春まで放置しているとすれば管理基準上は問題がありますので、例えば、防水シートで上下を覆うなど適切に管理していただく必要があります。
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Q6  パドック(運動場)で排出されたふん尿は、管理基準上どのような扱いになりますか。

1 パドックで排出されたふん尿については、そのまま放置されドロ状になったり、野積みされている場合は、管理基準上問題があります。

2 このため、ローダー等で適宜集めてたい肥舎に搬入するか、農地に散布する等適切な管理をしていただくことが必要です。
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Q7  家畜排せつ物の発生量等の記録は、どのようにとればいいのですか。

1 家畜排せつ物の発生量等は飼料の給与量等により異なるため、正確に把握することは難しい面があると考えられます。

2 このため、簡便な方法で記録していただけるように様式が定められています。(課長通知)
 具体的な方法は次のとおりです。
 発生量については、様式に1頭羽当たりの標準的な年間発生量が示されていますので、これに頭羽数を掛け合わせて求めて下さい。
 また、処理の方法については、自己の経営内で利用、たい肥センター等経営外で利用、浄化処理施設で処理等が示されていますので、発生量を10割とした場合の処理方法別の大まかな割合を、処理の方法別の数量として記入して下さい。
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Q8  現在、野積みをしており、これからたい肥舎を作ろうと考えています。勧告や命令といった措置は、法律の施行と同時に行われるのですか。

1 家畜排せつ物法は平成11年11月1日から施行され、管理基準についても、同日から施行されましたが、施設設備には一定の期間が必要となること等を考慮して、管理基準のうち、構造設備に関する基準については5年間の猶予期間を設けたところです。

2 なお、猶予期間経過後も、いきなり罰則ではなく、まず指導・助言を行い、更に必要があれば勧告、命令という十分な手順をとることとしています。
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Q9  管理基準はすべての畜産農家が遵守しなければならないのですか。

1 管理基準に関しては、飼養規模が小規模な畜産農家については、排せつ物の発生量が少ないこと、自己所有の農地・草地に還元することで、野積み・素掘り等が解消される可能性が高いことを踏まえ、適用されないこととされました。その具体的な頭羽数は、牛及び馬にあっては10頭未満、豚にあっては100頭未満、鶏にあっては2,000羽未満となっています。

2 なお、小規模な畜産農家であっても、家畜排せつ物の適正に管理し環境問題の発生を防止することの重要性は同じですので、野積みや素掘りは行わないよう適切に管理して下さい。


(参考)Q8とQ9でご説明した概要を表にしましたので参考にして下さい。
家畜の種類 対象となる
飼養規模
1.構造設備
基  準
2.管理の方法基準
イ.施設管理 ロ.定期点検 ハ.修 繕 ニ.維持管理 ホ.記 録
10頭以上
100頭以上
2,000羽以上
10頭以上

○は、平成11年11月1日から適用
●は、平成14年11月1日から適用
◎は、平成16年11月1日から適用
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Q10  管理基準の適用に関して、飼養頭数はいつを基準にして決めるのですか。また、カウントの対象には成畜のほか子畜も含むのですか。

1 飼養頭数については、ある特定の時期を基準として決めるということではありません。例えば、牛の場合でいうと、10頭以上を超えている時点で不適切な管理が行われている場合には、管理基準に合うように改善していただく必要があります。

2 また、子畜については排せつ物の量が少ないこと等から、頭数のカウントの対象から除外することとしています。具体的には、牛及び馬では6ヶ月齢未満、豚では3ヶ月齢未満、鶏では2日齢未満のものが除かれます。
 なお、肉用牛繁殖経営については、出荷されることが確実と見込まれる子牛については、10ヶ月齢未満のものを子畜として扱ってよいこととされています。また、乳用種育成経営については、大規模化が進展しており、家畜排せつ物の適正な管理を確保する必要があることから、飼養されている育成牛(6ヶ月未満のものを含みます)の実頭数に1/3を乗じて得た数をもってその経営の飼養頭数として扱うこととされておりますので、この換算した頭数が10頭以上である経営については、管理基準が適用されることになります。
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Q11  新しい農林公庫資金の融資の対象となる処理高度化施設にはどのような施設があるのですか。

1 尿貯留槽の管理施設、たい肥舎、乾燥発酵施設等のたい肥化施設、また、固液分離器、脱臭装置、マニュアスプレッダー等の機具類に至るまで、家畜排せつ物の管理、たい肥化、施用及び販売に必要となる全ての施設、機具が対象となります。

2 また、これらの施設と一体的に整備する畜舎等の生産施設も融資の対象となります。
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Q12 金融上の支援措置を受けるための具体的な手続きについて教えて下さい。

1 農林金融公庫の融資を受けるためには、処理高度化施設整備計画を作成していただき、都道府県知事の認定を受ける必要があります。 そのための手続は次のとおりです。

(1)処理高度化施設計画認定申請書(以下「計画認定申請書」)を作成します。計画認定申請書には、
1処理高度化施設の整備の目標、2処理高度化施設の整備の内容及び実施時期、3処理高度化施設の整備の実施に伴い必要となる資金の額及びその調達方法等については記載していただきます。

(2)計画認定申請書を都道府県に提出するとともに、写しを融資機関窓口に提出して下さい。都道府県の認定手続と並行して借入れに必要な審査を行います。

(3)都道府県は、この計画が都道府県計画に照らし適切なものであり、かつ、その達成される見込みが確実である場合に、適当である旨の認定をして、申請者ご本人に連絡します。

2 都道府県知事の認定を受けた後は、資金の借入申込書を融資機関窓口に提出します。融資機関において貸付決定が行われた後、担保認定等の必要な手続を経て、資金が融通されます。
 なお、農林金融公庫の融資が円滑に行われるようにするため、お近くのJA、農業改良普及センター、農林公庫等が必要に応じて計画認定申請書の作成等のご支援を行うこととなっていますので、予めご相談下さい。
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Q13 税制の特別措置の内容と具体的な手続について教えて下さい。


1 この法律の制定に併せて、畜産業を営む者が新たに整備するたい肥化施設等について、次のような税制上の特別措置が講じられることとされました。

(1)所得税・法人税 (国税)  畜産業を営む者が新たに整備するたい肥化施設等については、青色申告する場合、その取得額の16%の特別償却ができます。

16年度税制改正において、18年3月31日の取得まで、措置の延長がなされる予定となっています。

(2) 固定資産税(地方税)  畜産業を営む者が新たに整備するたい肥化施設等のうち、法の施行日(平成11年11月1日)から平成16年3月31日までに取得したものについて、取得後5年間課税標準が1/2に軽減されます。

16年度税制改正において、18年3月31日の取得まで、措置の延長がなされる予定となっています。

2 具体的な手続は、次のとおりです。

(1)所得税・法人税(国税)
 1 前年の所得について、2月16日から3月15日までの間に税務署に申告します。
 2 この際、青色申告決済書に、今回の特別措置を受けようとするたい肥舎等に関する特別償却費を減価償却費として記入します。

ただし、16年11月1日以降の施設取得に関しては、手続が変更となる予定です。

(2) 固定資産税(地方税)
 1 毎年1月2日から31日までに、償却資産について市町村に申告します。申告の内容は、償却資産の所在、種類、取得時期、取得価格等です。
 2 なお、固定資産税の特別措置を受けるためには、農林水産大臣の証明書を添付する必要があります。(記入例を参考にして下さい)。

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Q14 家畜排せつ物処理施設の設備に対する補助事業やリース事業等の支援措置を教えてください。
1 家畜排せつ物処理施設に対する支援措置としては、補助事業(公共事業と非公共事業)、リース事業及び融資があります。
 補助事業は市町村や農協等がたい肥センターを共同で整備する場合や畜産農家と耕種農家が共同でたい肥センターを整備する場合に利用できます。
 畜産農家が野積みや素掘りを解消するために、個人でたい肥舎や浄化処理施設等を整備する場合には補助付きリース事業(正式には「畜産環境保全施設整備事業」)や融資が利用できます。
 なお、補助事業については生産局以外に農村振興局の補助事業も活用できますので、積極的にご利用ください。

2 また、融資については、農林漁業金融公庫の資金のほかに、農業改良資金、農業近代化資金も利用できます。さらに、税制についても、新しくたい肥舎等を整備する場合には、所得税・法人税の特別償却や固定資産税の軽減が受けられます。

3 このような支援措置の具体的内容についてお知りになりたい場合には、最寄の県民局又は県庁にご相談ください。
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