畜産大賞は山口発「放牧維新」放牧で創る新しい地域農業
  
 平成18年度畜産大賞業績発表・表彰式が平成19年2月5日(月)、東京都港区の虎ノ門パストラルで開催されました。

 社団法人中央畜産会では、平成10年度から日本中央競馬会特別振興資金助成事業(財団法人全国競馬・畜産振興会助成)により「経営」「地域畜産振興」「研究開発」のそれぞれの分野で取り組まれる合理性、普及性、発展性に優れた今日的、社会的に意義のある優れた事例を選定し、「畜産大賞」等として表彰しています。

 選考は、「経営」「地域畜産振興」「研究開発」の3部門の審査委員会において、農業・畜産関係団体、学会等から推薦された事例等を審査し、各部門の最優秀賞、優秀賞や特別賞を決定し、さらに最優秀賞の中から「畜産大賞」を決定します。

 本年度は中央審査委員会(審査委員長:麻布大学名誉教授 栗原幸一氏)により、畜産大賞に『山口発「放牧維新」放牧で創る新しい地域農業』が選ばれました。

 この日は、畜産大賞、各部門の最優秀賞の業績についてそれぞれの事例発表があり、表彰が行われました。

 畜産大賞に輝いた事例は代表の元永素氏が山口型放牧研究会の取り組みについて説明の中で「山口県の各地域で行われていた放牧を体系化し、肉用牛経営者、耕種農家、行政、農協等関係者を包括した研究会を組織化し、相互の意見交換を行い、放牧のやり方を整理し改善していった。行政の対応も柔軟な姿勢で、小規模農家の取り組みも事業対象にするなど弾力的な対応をしたことから農家が放牧事業に参画しやすいものになったことも、事業が成功した。」と述べられました。

 経営部門の最優秀賞に輝いたのは、秋田県の柴田輝男・誠子夫妻の酪農経営で、『地域社会と調和しながら確立した草地型酪農』でした。この経営は審査委員長の講評によれば、「経産牛1頭当り60aの飼料生産基盤を確立し、資源循環型を実践する経営である。牛検データの活用により、経済能力の高い牛群を揃えた。平均4.3産、平均分娩間隔12.3ヶ月と優良な成績を収めている。自己資本比率が高く経営も安定している。建築資材に古電柱を使ったり、自家労働力で投資を抑える努力も惜しんでいない。」と高く評価されました。

 研究部門の最優秀賞は、細断型ロールベーラ研究開発グループによる『細断型ロールベーラの開発と高品質コーンサイレージの調製技術』(生物系特定産業技術研究支援センター(代表:道宗直昭氏))で、この事例は「自給飼料生産の実際の現場では、収穫調整の労働はその強度が高く、人数も数人を必要とし、コーンサイレージ生産のネックにもなっていたが、この機械の開発により軽労化された。コーンを牧草と同じようにラップサイレージできることは画期的である。」と評価されました。なおこの研究開発グループには、三重県科学技術振興センター畜産研究部も参画していました。

 畜産研究部では、平成16年度にも「稲発酵粗飼料の総合的生産・利用技術体系の開発」の共同研究による畜産大賞の栄誉に輝いており、今回で2度目の受賞となります。

 畜産研究部は、(独)生物系特定産業技術研究支援センターからの委託により細断型ロールベーラの実用性を調査研究する実証試験チームに参画し、細断型ロールベーラで収穫・調製されたトウモロコシサイレージの品質評価や貯蔵方法の提案および乳用牛を用いた実証データの提供に寄与しました。
 当日の会場の模様
 

開会の挨拶をする中央畜産会中瀬副会長

審査講評を述べる中央審査委員長
(麻布大学名誉教授 栗原幸一氏)
 

畜産大賞を受賞した山口型放牧研究会

祝辞を述べる松岡農林水産大臣
 

閉会の挨拶をする中央畜産会小里会長

受賞者のみなさん