社団法人三重県畜産協会の事業から思うこと
 
三重県消費者団体連絡協議会
会長 植村 静子
  
植村さん 畜産を取り巻く社会情勢は、突如として、安全・安心を脅かす事態がおきております。

 O157やBSE、鳥インフルエンザの発生など、消費者は畜産物の安全性に、たびたび不安を抱かざるを得ない昨今です。

 北海道の食肉の偽装問題も、消費者をまったく馬鹿にした行為は許し難いものがあります。この様な世情に於いて、三重県畜産協会は「畜産物安全・安定供給相互理解体制推進事業」を実施し、生産者と消費者との顔の見える関係づくりに力を入れ、相互理解の事業に着々と成果を上げていられるのではないでしょうか。ふれあい交流会では、生の体験を通して普及活動を実施され、畜産物加工調理体験教室では、大人や小学生を対象に、今問われている食育に大いに貢献されておられます。又、消費者の視点に立った取り組みとして、酪農家が苦労された熱い想いや、後継者不足の中で、三重の畜産を担っていく若者との連携を深め、未来の明るい畜産に携わっていこうという決意の発表を聴いて、心打たれました。消費者として生産者に応えられるのは、畜産の安全・安心を信じ、購買を高めることで応援をしていきたいと思っております。尚、畜産を取り巻く関係各位も、一層の理解と支援されることが必須ではないでしょうか。人間にとって大事な栄養、上質の蛋白源です。どうか生産者の皆様、今後とも頑張っていただきたいと願って止みません。

松阪牛物語 さて、松阪市天白小学校6年生の版画絵本「松阪牛物語」を読ませていただきましたが、一言で素晴らしい本でした。

 表紙を含め、19枚に牛の生活を版画で描かれ、一頭の牛の一生涯の想いが展開されております。

 兵庫県の但馬牛が広大な土地で生まれ、親牛と共に愛情いっぱいに育つうち、子牛のセリ市に出され、親牛との悲しい別れ、肥育される農家での愛情を受けながら立派な牛となり、牛の共進会では見事に、有終の美を飾り喜び合いましたが、食肉公社に受け入られ、公社の方々の優しい思いやりを身に感じながら、牛としての宿命を果たし、人間に生きる命を与え、皆に喜んでいただく事を悟る展開に瞼が熱くなりました。学生達に牛の気持ちを引き出させた先生のご指導も見事なものです。人、動物の心がよく理解出来る立派な成人になる事を確信したいです。

 この版画絵本はすでに多くの方々の目にふれていると思いますが、冊子を増やすか、又はビデオ作成され、是非各学校で見られるようにしていただきたいと思います。このまま松阪周辺で埋もれてしまうのは大変もったいないと思います。どうか最大の努力をして実行に移されん事を願って止みません。