牛から学ぶ命の尊さ
三重県松阪食肉衛生検査所
検査課主任研究員 中井 康博
 
 平成19年10月15日、19日、三重県松阪市立天白小学校6年生の児童が当検査所・食肉公社を見学に来てくれました。天白小学校は平成17年度から3年連続して検査所に見学に来てくれています。

 今回の見学に先立ち10月11日に事前学習として天白小学校を訪れ「検査所・食肉公社の仕事」「生命のある牛や豚が食肉になるまで」などの説明を行いました。子供たちは説明を真剣に聞いてくれ、それぞれの子供たちが当日どこを見たいかを話してくれました。

 見学当日、子供たちはバスで来てくれました。どの子も事前学習の時と同じくとても元気そうでした。

 まず検査所で、「検査所・食肉公社の仕事」「生命のある牛や豚が食肉になるまで」についてもう一度詳しく説明をしました。説明終了後、実際に食肉公社の見学者通路からと畜検査や処理工程の見学を行いました。

 見学者通路では、食肉公社の太田製造課長にも参加してもらい、通路に掲示されている「写真」と「解説」を利用し、作業内容や実際に使用している器具を見せながら、説明を行いました。

 どの子供たちも事前に十分勉強してくれていたようで、公社職員や検査員の仕事の様子を熱心に見ていました。私たちの説明も熱心に聞き、ノートにとったり、スケッチをしていました。

 子供たちは「牛がと畜される瞬間」、「牛の胃や腸」、「背割り」などのと畜処理風景を目の当たりにして「すごい・・・」「かわいそう・・」などさまざまな感想を述べてくれました。

 検査所に戻ってから複数の人が一度に同じものを見ることができるディスカッション顕微鏡で牛の第一胃液中に存在する微生物を子供たちに観察してもらい、草を食べて大きくなる牛の栄養生理について説明しました。原虫が実際に動いている姿に子供たちは興味津々、顕微鏡にもびっくりしていました。

 次に第一胃液のにおいを体験し、なんとも不思議そうな顔を見ることができました。

 また、聴診器を使って実際に自分の心臓の音を聞きました。子供たちは自分の心臓が音を出して動いているのをきいてびっくりしていました。

 最後に子供たちからたくさんの質問を受けました。子供たちの視点や目線にはびっくりです。その後見学を終えた子供たちは元気に学校に戻っていきました。

 見学の時のびっくりしたり、かわいそうと思った経験が、命の大切さや不思議さを理解し、作業者をはじめ牛肉生産にかかわる人々への感謝の気持ちへ変わっていってくれればと思います。

 松阪食肉衛生検査所にはたくさんの子供たちが見学に訪れていますが、その気持ちを少しでも多くの人にもってもらえるよう、がんばっていきたいと思います。