三重県各地でヤギが飼育されているのを知っていますか?
三重県農業大学校 出口裕二
 
 県内でヤギを飼育する方々が毎年「山羊会議」を開催しています。今回は12月6日に、この会議を主宰する野呂由彦さんの地元多気町勢和図書館で、14名が参加して開催されました。ヤギがかわいくて仕方ないと話すお年寄りや子供連れのご夫婦、ヤギを中心に自給自足生活を目指す人、ジビエ料理に関心のある人などいろんな方々が参加されています。県下でヤギの飼育は、昔に比べて非常に少なくなっていますが、農山村地帯の雑草管理や耕作放棄地対策をはじめヤギ乳生産や愛玩動物として県内各地で飼育されています。
愛らしい2頭の子山羊(多気町)

 当日は、午前10時からモンゴル遊牧民のドキュメンタリー映画「四季・遊牧 ツェルゲルの人々」を上映。この映画は滋賀県立大学の小貫雅男教授が中心になって製作した7時間40分に及ぶ大作。遊牧民がヤギや羊・馬とモンゴルの大草原で織りなす四季折々の暮らしを、臨場感あふれる映像で表現しています。モンゴルの広大な山野と家畜と人の生活は、2時間の時を全く感じさせず日常の些事を離れて心が洗われる思いにさせてくれます。
昼食時には、ヤギのミルクやヨーグルト・チーズさらにヤギのミルクで作ったパンや生キャラメルなどを持ち寄って、試食しながらヤギ談義に花を咲かせました。午後は、ヤギを用いた草の管理など二つの話題提供と参加者の情報交換がありました。予定は3時までのところを4時半まで延長して非常に熱心な集いとなりました。
 話題提供には、私が家畜改良センター長野牧場から提供された「ヤギによる未利用地等の植生管理」と題する資料に基づいて、ヤギの特性・繋牧や放牧の注意点などを説明しました。次に、東海農政局宮川用水第二期農業水利事業所の杉本技術専門官から、パイプラインが埋設された用水路上に生育する草をヤギで除草する試験結果が報告されました。供試されたヤギは、この会議に参加された方からお借りした日本ザーネン種とアルパイン種2頭で、玉城町蚊野地内で10月から12月まで試験が行われます。近くには小学校と保育所があって、登下校時にはヤギを見るため立ち寄っていく子供たちの人気者になっているそうです。
 過去の集まりには小学校の先生が参加され、学校教育の一環に飼育されたり、退職後に帰郷して田畑管理にヤギを飼育する方など、ヤギの飼育が見直されてきていると感じます。この会議の中でも、繁殖させたいけど何処で雄ヤギが飼われているのか、ヤギのチーズを作りたいがどうすればいいのか、ヤギ肉の味はどうでしょうかなどいろいろな疑問やご意見が出ました。全国的には、ヤギネットワークや全国ヤギサミットなどが情報交換の場となっていますが、牛や豚、鶏など畜産業界は専業化と大型化が進み、一般の消費者が家畜の生産現場を垣間見たり、家畜と触れ合う機会が少なくなっています。身近な家畜としてヤギを見直してみてはいかがでしょうか。今年5月「アメリカのカリフォルニア州にある検索大手グーグルの本社は、200頭の放牧ヤギが草の管理をしている」と報道されたニュース。まさに究極のエコロジーと感心します。

保育園児の人気者(玉城町)