醍醐味を感じるチーズ作りに挑戦
三重県農業大学校 出口裕二 発
  農業大学校では牛乳からチーズを作ろうと、1月30日、津市で酪農経営の後継者であり、チーズを作り販売してみえる鈴木雄大さんからご指導いただきナチュラルチーズ(モッツァレラ)作りに取り組みました。
 作業手順は、朝搾乳した牛乳6ℓを65℃で30分間加熱する低温殺菌した後、40℃で湯煎しながら乳酸菌とレンネット(凝乳酵素)を添加します。乳酸発酵が進むにつれてpHが低下しながら、牛乳がホエー(乳清)とカード(固形分)に分離し始めます。しかし、湯煎しながら牛乳を温度管理するのが難しくて一向に凝固し始めず、さらに温度を上げながらレンネットを加えたり試行錯誤を繰り返しました。そして、やっと牛乳が白く固まり始めて、カードがホエーと分離し始めると、参加者は鍋の周りに集まり、その瞬間を驚きの表情で注目しました。
 その後、ホエーを取り除きながら、さらにpHを下げようとしたところ、乳酸発酵が進まないので、モッツァレラ作りから急遽クリームチーズ作りとなってしまいました。カードを一晩さらし袋に入れてホエーを分離し、塩を加えて初めてのチーズ作りは完了しました。翌日、完成したチーズを学生や関係者が試食したところ、多くの人にとって初めての味は「ミルクの香りが濃くて美味しい」と好評でした。
 世界でチーズを最も多く生産しているのはアメリカで2008年度に約480万トンと、二位の西ドイツ(約200万トン)を大きく引き離しています。一方、チーズの消費量(年間一人)が多い国はギリシャ(28kg)、フランス(24kg)、ドイツ(21kg)、スイス(20kg)などのEU諸国で、日本(2kg)の10倍以上の消費量と、EUの食文化にチーズが大きく関わっていることが伺われます。わが国の牛乳消費量は平成2年を境に年々減少しています。しかし、チーズの消費量は年々増加傾向にあり、酪農が盛んな北海道や東北関東地方では酪農家が自らチーズ作りに取り組む事例が多くなっています。
 今回の実習は、学生と県下で山羊を飼育し山羊乳でチーズ作りに取り組む方も参加し、初めてのチーズ作り研修となりました。ミルクと乳酸菌と凝乳酵素の微妙な働きが古来「醍醐味」と表される美味しさを生み出すと教えてくれます。県内で生産されるミルク(牛乳・山羊乳)をチーズに加工してフレッシュチーズを、さらに熟成させたナチュラルチーズを作る楽しさと難しさ、その美味しさを一人でも多くの人々に知ってほしいと痛感した研修でした。


カードを切る学生

完成したチーズ