乳牛 牛(うし) 肉牛

 我が国では、古くから、牛は田や畑を耕したり、荷物を運ぶために利用されてきました。しかし、現在では、牛肉や牛乳を生産する家畜として、飼育されています。

 三重県には、「松阪牛」や「伊賀牛」などがあり、おいしい牛肉として、全国的に知られています。 これらの牛は、肉を生産することから、「肉牛」(肉用牛)と呼ばれ、日本では「黒毛和種」が最も代表的な品種です。

 「黒毛和種」は名前のように全身黒い毛におおわれていますが、北海道の牧場などで見る白黒模様の牛は「ホルスタイン種」と呼ばれています。この牛は、主に牛乳をしぼるために飼育され、「乳牛」(乳用牛)と言います。

 国内で飼育されている牛は、この二つの品種がほとんどですが、乳牛にはジャージー種、ブラウンスイス種なども飼育されています。

 牛は、人が利用できない「草」を食べることから、草食 家畜と呼ばれています。牛には「反芻胃 」と呼ばれる大きな消化器官があり、「草」を栄養源として成長します。牛のように「草」を主食とする動物は、山羊や羊、馬、うさぎなどで、昔から、人の生活に身近な家畜として親しまれています。


乳牛1 乳 牛

(1)子牛の誕生と成長 子牛(生時体重40kg)は、280日間ほど母牛のお腹で成長し、大きくなってから生まれます。1日4kgほど牛乳を飲み、1ヶ月(体重60kg)で離乳 します。離乳後はおもに草を食べて大きくなります。3ヶ月で体重は100kg、6ヶ月で150kg、1年で300kgに成長します。

(2)人工授精 と妊娠 雌牛は15ヶ月、体重350kgで種付け(人工授精)して妊娠させます。妊娠して280日(約9ヶ月)すると、子牛が産まれて牛乳が出るようになります。出産時には、母牛は2歳で体重が550kgになります。

(3)牛乳の生産 母牛は子牛を産むと、牛乳が出始めます。牛乳は1日朝夕2回しぼって約30kg、10ヶ月間では約9000kgの牛乳を生産します。そして、次の子牛を産む2ヶ月前には、お腹の子牛に栄養を与えるため、牛乳をしぼるのを休みます。

(4)牛乳の栄養と利用法 牛乳は、脂肪、糖、蛋白質、カルシウム、ビタミン類をバランス良く含んでいます。日本人に不足しがちな栄養のひとつがカルシウムですが、コップ一杯(200g)の牛乳は、大人が1日に必要なカルシウム量の3分の1を含んでいます。  牛乳はミルクとして飲むだけでなく、チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリームなどにも加工し利用されています。

乳牛の飼養状況(令和5年2月1日現在)

区 分 飼養戸数 飼養頭数 一戸当り頭数
三重県 29戸 6,900頭 237頭
全 国 12,600戸 1,356,000頭 107頭

※農林水産省統計部「畜産統計調査」による


枝肉2 肉 牛

(1)牛肉の種類 牛肉屋さんの店頭にはいろいろな種類の牛肉が並んでいます。それらを大きく分けると、次のようになります。

輸入牛肉 肉用種(黒毛和種) 和牛肉
国産牛肉 乳用種 (ホルスタイン種) 牛肉
交雑種 (肉用種と乳用種の交雑種)

 それぞれの牛肉には、肉質や味に違いがあります。国産牛肉の黒毛和種(和牛肉)は高級牛肉として知られています。筋肉内に細かく脂肪交雑した牛肉は「霜降肉 」と言われ、最も高い価格で売買されています。

 国産牛肉の乳用種は、乳牛から産まれた雄牛や牛乳をしぼらない雌牛などが食肉用に肥育されます。最近では、乳牛に黒毛和種を交配した交雑種が多く肥育されるようになってきました。 輸入牛肉は国産牛肉より価格が安く、その消費量が年々増えています。

 
おなかすいてます (2)牛肉が生産されるまで 子牛は性別と品種によって、産まれた時の体重が違います。一般的に、雄子牛は雌子牛より重く、黒毛和種の生時体重は約30kgでホルスタイン種(40kg)より小さい。 子牛は、草や稲わら、穀類 (大麦や大豆かす)、ふすまなどを給与して、2年から3年ほど、体重が600〜700kgに肥育してから、食肉とします。
 

肉牛の飼養状況(令和5年2月1日現在)

区 分 飼養戸数 飼養頭数 一戸当り頭数
三重県 138戸 31,100頭 225頭
全 国 38,600戸 2,687,000頭 69頭

※農林水産省統計部「畜産統計調査」による